家をつくる方法は誰も教えてくれない。『定年を迎えたら、このようなリフォームをし、家具や調度はこのようにしつらえなさい」と、父や祖父から教わった人はいるだろうか。いや、皆無といっていいだろう。祖父や父があなたに無関心だったから?いや、私たちの暮らしはここ50年で激変してしまい、家も家族もコミュニケーションのかたちも大きく変わってしまったからだ。だから、先輩たちは誰もあなたにアドバイスすることことができないのだ。こんな時代に「おおこれぞ、わが暮らし!」と手応え十分に覚醒できるような住まいを願うのは、シルバーエイジにとって無理な注文なのだろうか?いや、じつはそれはさして難しいことではないのだ。目をつぶってあなたの「へそ」を指せばいい。自分にとって一番大事な暮らしのへそを、家の真ん中に据えれば、自分の生き方にぴったり合った「住まい」が獲得できるのだ。家人のN様のへそは何だったのか?そしてへそのあるリフォームはどうだったのか?
【インタビュアー/馳 純】