依頼主は「本当に安らげて、ゆっくりと時間が流れる家」と、取材中、幾度か感想を語った。高山市郊外、中山丘陵で家族5人が暮らす新しい家は、飛騨の町家を彷彿させる太い梁が吹き抜けを支え、 藁色(わらいろ)の塗り壁と栗皮茶の落ちついた木部が、 ゆったりとした大人の暮しを彩っている。細部に目をむければ、家人の労力を軽減する収納スペースや動線計画が功を奏し、依頼主と建築家が求めた「いい家」への回答が随所に見えてくる。家族構成を伺いながら、チェックリストを消していくような打ち合わせからは 決して生まれない家。 その決め手はどこにあるのだろうか?
【インタビュアー/馳 純】