ときおり居酒屋の奥に、仲間同士が揃って足を落とす座敷を見つけることがある。テーブル席や畳にもそれなりの良さはあるが、堀りごたつには得も言われぬ、親しみ深いくつろぎがあり、万人の顔には笑みが浮かぶほど、人を優しくする。それはかつていろりを囲んで暮していた頃の記憶というDNAが、堀りごたつへと脈々と息づいている証なのだ。Iさんご夫婦が長年求め続けた「ほっとするひととき」もまさにそれ。ご主人があたためていた『堀りごたつ』というキーワードから、はたしてどんなリビングが誕生しただろうか。
【インタビュアー/馳 純】
私は食品をストックできる食品庫と、キッチンの横から庭へ出られる勝手口をつけてもらったこと。庭へは水道のほかに山からわき水を引いているんです。わが家では山水をとても重宝していますので、新旧取り混ぜた暮しが気に入っています。